うつ病・躁うつ病(気分障害)
うつ病の症状
以下の症状のうち5つ以上が、2週間以上存在している場合、「大うつ病性エピソード」が考えられます。
(1と2のどちらかは必ず存在)
1. ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分
2. 全て、または、ほとんど全ての活動における興味、喜びの著しい減退
(楽しい、おもしろいなどの感覚がなくなる)
3. 著しい体重減少あるいは体重増加、または食欲の減退あるいは増加
4. ほとんど毎日の不眠または睡眠過多(中途覚醒、早朝覚醒というタイプの睡眠障害が多い)
5. 精神運動性の焦燥または制止(じっとしていられない感じ、または動けない感じ)
6. 易疲労性または気力の減退(疲れやすい、何かしようとする気がおこらない)
7. 無価値観、または過剰な罪責感(攻撃性が自己に向かう)
8. 思考力や集中力の減退、または決断困難(ささいなことも決断できない)
9. 死についての反射的思考、自殺念慮、自殺企図、自殺計画
「大うつ病性エピソード」が存在し、他の気分障害(双極性障害、気分変調症など)が存在しないものを、「大うつ病性障害」といいます。
基本的には、このような症状が4ヶ月から6ヶ月程度続き、通常の気分状態に戻るといわれていますが、エピソードを繰り返すほど再発の可能性は高くなり、エピソード間の期間は短くなります。
きちんと対応すれば、症例の3分の2は完全に治るといわれていますので、再発予防は非常に重要です。
うつ病の診断は、身体症状がポイント
このように、うつ病の症状は、心と身体の両方に現れますが、重症度は、むしろ、身体症状を重視して診断されます。
また、身体の症状が前面に出て、抑うつ気分などがあまり表に出ない状態を「仮面うつ病」といいますが、抑うつ気分が目立たないために、うつ病が見逃されてしまう危険性があり、注意が必要です。
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うつ病の有病率
うつ病の生涯有病率は、女性で10〜25%、男性で5〜12%といわれています。うつ病が、いかにポピュラーな病気であるかということが、おわかりいただけるかと思います。
「うつは、こころの風邪」といわれる意味
うつ病は、誰でもなりうるポピュラーな疾患であり、また、エピソーディッシュなもの(一時的なもの)です。また、うつ病の症状は、脳機能の失調が原因であることから身体症状が多く、休養がとても大切です。ストレスにより耐性が低下すると発症しやすい(風邪も、免疫が低下するとかかりやすい)ことからも、風邪とよく似ているといえます。
職場でみられる、うつ病の初期症状
周囲の人が初期の抑うつ状態を察知することは、それほど難しいことではなく、家族が気がつく前に、上司や同僚が異変に気がつくことも稀ではありません。普段つきあっている人に、「何かいつもと様子が違う、妙だ」と感じた際には、うつ病を疑い、以下のようなことチェックしてみて下さい。
1. 今まで遅刻したことのない人が遅刻する、眠そうな顔で出勤してくる、昼間も眠そうにする
2. 仕事の能率が落ちている、仕事への意欲に欠ける。
3. 食欲がない(昼食時も食が進まない、痩せてきたなど)
4. ため息をつく、涙もろい
5. 自殺願望をほのめかす
こうした項目がいくつかあてはまるようなら、早めにご相談下さい。
うつ病の治療と対応
うつ病の治療は、じゅうぶんな休養と薬物療法が最優先です。早めの受診を心がけて下さい。症状がおちついたところで(あるいは、重症化する前で)の心理療法は、再発予防にも非常に有効です。
また、周囲は、むしろ「休む」ことを命令しなければならない場合もありますし、ゆっくり休養できる環境を作ることも重要です。
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双極性障害(躁うつ病)
周期的に躁状態(※1)とうつ状態を繰り返す精神疾患で、躁うつ病または双極性感情障害ともいいます。躁病または混合性エピソード(※2)が存在する双極1型と、軽躁病(※3)と大うつ病エピソードが存在する双極2型に区分されます。有病率はうつ病より低くなりますが、回復しても、また新たなストレスを契機に再発・再燃を繰り返す傾向にあり、また、本人の受療行動が悪いこと(少し良くなると勝手に薬の服用をやめたり減らしたりするなど)が原因している場合もありますので、本人や家族に対して病気の理解を促進させる教育や指導も必要です。
(※1)気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的、または苛立たしい、いつもとは違う気分が1週間以上続く状態。以下のような症状が現れます。
1. 自尊心の肥大
2. 睡眠欲求の減少
3. 普段より多弁
4. 観念奔逸(次から次へ新しい考えが浮かんでくる )
5. 注意散漫
6. 目標志向性の活動の増加、または精神運動性焦燥
7. 快楽的活動への熱中(買いあさり、性的無分別、投資など)
(※2)少なくとも1週間の間ほとんど毎日、躁病エピソードと大うつ病エピソードの基準をともに満たす状態。
(※3)社会的または職業的機能に著しい障害を起こすほど、または入院を必要とするほど重篤ではなく、精神病性の特徴は存在しない。
不安障害・パニック障害
パニック障害とは
パニック障害は、「不安障害」のなかのひとつで、突然、なんのきっかけもなく、動悸、息切れ、呼吸困難、めまい、吐き気などの、「パニック発作」が繰り返し起こり、また発作が起こるのではないかという不安(予期不安)から、進行すると、「ひとりで外出できない」「電車に乗れない」など、日常生活に大きな支障をきたすようになる精神疾患です。
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パニック発作
パニック発作はパニック障害の中心となる症状で、理由のない強烈な不安や恐怖感を伴うことが特徴的です。
以下の症状のうち4つ以上が突然現れ、多くの場合、10分以内に症状のピークに達するのが特徴です。
1. 動悸、心悸亢進、心拍数の増加
2. 発汗
3. 身震い、震え
4. 息切れ感、息苦しさ
5. 窒息感
6. 胸痛、胸部の不快感
7. 吐き気、腹部の不快感
8. めまい感、ふらつき、頭が軽くなる感じ、気が遠くなる感じ
9. 現実感の消失、離人症状(自分が自分でないような感覚)
10. コントロールを失うこと、または気が狂ってしまうのではないかという恐怖
11. このまま死んでしまうのではないかという恐怖
12. 常感覚(感覚麻痺、うずき)
13. 寒気がする、または熱っぽく感じる
予期不安
パニック発作の症状があまりに劇的なため、「また発作が起こるかもしれない」という漠然とした不安が常
につきまとうようになることです。パニック発作が改善しても、予期不安の症状が残ることがあるため、治
療上、重要な症状です。
広場恐怖
逃げられない(または逃げたら恥をかく)ような場所や状況、またはパニックになったときに助けが得られない場所や状況についての不安症状です。例えば、家の外に1人でいる、人ごみの中にいる、乗り物で移動している、列に並んでいるなどの状況に不安を感じ、次第にこれらの場所や状況を避けるようになります。
パニック障害の治療と対応
薬物療法により、パニック発作をコントロールしながら、認知行動療法などの心理療法を組み合わせるのが理想的です。じゅうぶんな治療を受けないまま進展すると、日常生活機能の障害や、情けなさ、罪悪感などから、うつ状態(続発性うつ病)におちいってしまう恐れもあります。
パニック障害も、症状が長期化すればするほど、治癒率が低くなってしまう病気のひとつですが、逆に、ごく早い段階で適切な治療を受ければ、上記のような状態にまで進展することもなく、完治しやすい疾患でもあります。パニック障害を長引かせないためには、少しでも早い治療が重要です。
強迫性障害
強迫性障害とは
強迫観念(つまらない考え、不合理だと理解しながらも、意思に反して一つの観念が頭にこびりついては離れない)に悩まされ、多くの場合、その考えを振り払おうと強迫症状(確認行為)が出現します。
ガスや戸締りなどが気になる、自分の手や体が汚れているような気がする、数をカウントする、手順が気になる、物の位置や向きが気になるなど、反復的な行動(または心の中の行為)で、強迫観念に反応して、それを行うよう駆り立てられている過剰な行動が続く結果、定時に出社できない、待ち合わせに遅れるなどの、現実の障害が起こっている状態をいいます。
強迫性障害への対応
薬物療法のほか、認知行動療法などの心理療法が有効です。
また、周囲の対応として、「気にするな」は無効です。本人は、気にしなくてもいいことを気にしてしまうことで苦しんでいるため、余計に苦悩が強くなるおそれがあります。
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