今回はバランス調整がらみの報告を並べてみますね。
■ 聴覚のバランスを調整してくれる音楽
耳鳴の音楽療法
2009/12 BBC News Music therapy for tinnitus hope
個人個人に合わせて調整されるオーダーメイドの音楽療法が、耳鳴に悩む人々が感じるうるささのレベルを下げてくれるかも。
患者さんのお気に入りの音楽を、耳鳴りが軽減するような周波数に調整してお聞かせしてみました。
聴取ペースは1週間あたり平均12時間。
こうして愛聴一年後、重度の耳鳴りは明らかに軽減していましたよ。
これはとてもコストパフォーマンスにすぐれた治療だと思いますよ。.
勃起不全を克服する
・・・いや、あの、いくら好きな曲でも、・・・一年聴くの???
曲の種類豊富に用意してもらえるのなら、それなりに楽しそうだね。
■ 身体のバランスに良い音楽
音楽で向上する運動能力
2010/07 BBC News How music can aid athletic performance
Music has helped elite tri-athletes in Australia increase their endurance by 15%
音楽の効果で、トライアスロン選手の持久力が15%高まった
代謝効率を向上させて、同じ酸素量でもたくさん走れるようになるらしい
特に女性において、効果が多く現れる
こんなバリバリ非常事態的な身体能力のみならず、基本的な生きるための動作にも、プラスの効果が見られます。
人工呼吸器の患者さんに音楽を聞かせると、呼吸が楽になるらしい
2010/12 BBC News Ventilator patients helped by music says study
投薬の代わりにBGM、もいいんじゃないか
2010/12 EurekAlert Music relieves stress of assisted breathing.
■ 生活のバランスにも良い音楽
2006/07 【日本語記事】共同通信
好きな音楽でホルモン安定 高齢者に効果、予防に利用2011/03 【日本語記事】BioToday
笑いを促す介入や音楽を楽しむ介入の血圧低下効果が示された
基本的に、「逆境感」が強いと、心も身体も病みやすくなります。
「逆境ストレスと貧困の影響」
「今は逆境じゃないよ」的な感覚をもたらしてくれるタイプの音楽は、逆境感が及ぼす悪影響を祓ってくれる効果があるわけです。
ステント手順の治癒や痛みを投稿する
でもって、音楽は、脳卒中の後遺症対策にもいいという報告が出ているんですよ。
... 以下つづき...
■ 日本の音楽療法ってどうなの?
ちょっと検索してみると、なにやら日本では音楽療法に関する学会のたぐいは2つあるようで。
一つ目は、
日本音楽療法学会
こちらは、10年以上前の2001年4月1日発足で、老舗。
もう一つは、
日本音楽医療研究会
2008/01 【日本語記事】産経新聞
「音楽療法」普及・確立を 研究会発足 手法、評価の体系化目指す
「日本音楽医療研究会」(会長、岩田誠・東京女子医科大学神経内科主任教授)
この2つの団体、何がどう違うのかとおもいきや。
日本音楽医療研究会 【日本では介護や障害児教育などの現場で実践されたり、音楽療法を研究する団体もあるが、一般にはなじみが薄く、「音楽療法はリラックスのため」などとあいまいな印象を持たれているのが現状だ。そこで、医療分野に特化した研究を深めようと、呉東進・東京女子医大准教授らが中心となって研究会を発足。】
そうかそうか。
「なんか良くなった気分」で満足するレベル以上に、実際にエビデンスを積み重ねて「より効率のよい治療を調べ上げて、患者さんに確かに良くなってもらう」ためのデータを確保する、そのための、一段階強めに焦点を絞った学会ができているわけね。
脳卒中、鎮痛、血圧、うつ病・・・
日本音楽医療研究会は、今回紹介しているような、医療系の音楽効果検証の問題を 扱っているのだと思われ。
尿失禁の診断
■ 脳の回復にも使える音楽
2008/03 【日本語記事】薬事日報社
1日数時間の音楽療法が脳卒中後の機能改善に有効音楽は脳梗塞患者の回復早める フィンランドの研究
2008/02 BBC News Music 'can aid stroke recovery'
2008/02 【日本語記事】ロイター 脳梗塞の患者にとって音楽は重要 フィンランド研究
通常の治療行為に加えて、オーディオブックを毎日数時間聴いていた患者は、言語暗記力や気分が向上した
心地よい音楽が与える「逆境感を軽減する効果」のみならず、無理なく入ってくる適度な聴覚刺激が、傷んだ神経が伸びる方向をもうまく調整していってくれるのかも。
ケニー・ロジャースが、脳卒中からの回復を助けてくれたよ
2009/12 BBC News Stroke patient says Kenny Rogers helped brain recovery
半側空間無視の患者さんは、好きな曲を聞くと両側を認識出来るようになるかも2009/04 【日本語ブログ】
心地良い音楽は半側空間無視患者の「気付き」の欠如を克服させる2004年 【日本語記事】NPO医学中央雑誌刊行会
左半側空間無視に対する音楽療法により歯みがきが改善した1例
半側空間無視というのは、自分から見た右、もしくは左側の空間の、情報も、存在も、認識できなくなる状態。そっち側が見えなくて困る、とかいう以前に、そっち側のモノの存在に気づかない以前に、空間の存在が理解や感知からすっ飛んでしまう、生活する上でかなりヤバイことになる状態であり、なかなか治療は難しかったりする。
この現象が、音楽を聞くだけで解消していくことがあるのなら、すごくラッキーなことですよね。
2010/02 【日本語記事】National Geographic
脳の言語処理、音楽で改善
左脳に損傷を受けた患者に音楽療法を集中的に施した心臓病や脳卒中患者さんのリハビリに、音楽をどうぞ
2009/06 PhysOrg Music may have a future role in heart and stroke patient rehab
音楽は、血圧コントロールやリハビリテーションに有効なツールっぽい音楽療法は、『視覚を元に戻す』
2009/03 BBC News Music therapy 'restores vision'
脳卒中で視覚処理がうまく行かなくなった患者さん、楽しい音楽に耳を傾けると、視覚の回復率が高まるかも
音楽が、脳を治す。
信頼できる仲間たちが、美しい歌を合唱している環境。
心地よい音楽は、思わず知らず、そんな「安心できる環境にいる」感を、心身にもたらしてくれる。
楽しい音楽、癒しの音楽。
無理なく脳内に心地良い信号と気持ち良い感情を生み出し続けてくれる、空間刺激。
そんな環境信号に空間が満たされているなら、各種の心や身体の不調からの回復も、すこやかに促進されていくのでしょう。
前回は、音楽による人心操作(作業効率を上げる音楽、感情を操作する音楽)の話でした。
『 人を殺す音楽、人を活かす音楽 』
次回は、不安症やうつ病からの回復に使える音楽、についてのお話を紹介いたしましょう。
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